全日本レスリング選手権第2日は22日、東京・代々木第二体育館で男女8階級を行い、男子グレコローマンスタイル55キロ級の長谷川恒平(福一漁業、焼津中央高校出)が決勝で峯村亮(神奈川大職員)を下して2連覇を飾った。
【長谷川、意地の王座死守】
チャンピオンの意地でしのぎきった。グレコ55キロ級の長谷川恒平(福一漁業、焼津中央高校出)は苦しみながらも2連覇を果たし、「絶対に勝たなければと思っていた。頂点に居続けることが重要」と胸を張った。マットに上がった王者は1週間前の練習中で痛めた左ひざを、きつくテーピングしていた。不安を抱えて臨んだ初戦で案の定、鋭い痛みが走った。「本来の動きができないと分かったので、省エネの戦いに切り替えた」。準決勝はスタンドで効果的にポイントを奪って圧勝した。決勝の相手は国体決勝でも対戦した峯村(神奈川大職員)。試合を通して互いに攻撃でポイントを取れず、グランドが勝負の分かれ目となった。第3ピリオド残り10秒、守る長谷川の体が浮き上がったが、「自信があったので慌てなかった」。巧みに体のポジションをずらし、ピンチを脱した。同点のラストポイント勝ちに、「試合内容は負けたも同じ。国内ではずばぬけて強くないと駄目」と表彰台では笑顔を見せなかった。しかし、アクシデントを乗り越え、勝ち取った栄光には価値がある。長谷川自身も「げがを抱えながら調整した経験は今後に生きる」と振り返った。今は五輪を身近に感じている。「世界の強豪はどんな体制からも得点を取る技術を持っている。練習からもっとがむしゃらさを出し、来年は国際試合で結果を出したい」と先を見つめた。